鬼の逆襲
なあ、頼むよ。島の皆んなを助けてくれ。
おまえさんのチカラが必要なんだ。
あいつらに復讐したいんだ。おれは……
もう、五年も前の話しだ。あいつらは、突然やってきた。俺たちはさ、こんな見た目をしてるけど、来客を突然襲ったりはしないぜ。
島に来客なんて珍しかったから、大将自ら歓迎したんだ。そしたらヤツがよう、いきなり大将を斬りつけやがった。
俺たちは、パニックさ。いきなり、大将が斬り殺された。その後も、あいつらは……目に入った島民たちを無差別に……
子どもや女どもを、急いで隠したさ。島の男たちは、あいらと闘った。それでも、あいつらは強かった。ほとんどが、死んでしまったさ。
おれ、怖かった。島の皆んなが、死んでくんだ。目の前で……おれは、何も出来なかった。隠れることしか……
これは、復讐だ。おれたちが何をしたってんだ……!
島の皆んなはさ、商いが上手かったんだよ。海も近いから、サカナも漁れたし、農業も困らなかった。
だからさ、それなりに島は富んでた。金銀財宝。他の国が羨むのも、分からなくはない。
だからって、あいつらは勘違いしたんだ。あいつらは、俺たちが他から掠め取ったと思ってたんだ。おれたちを、いかめしい悪だと決めつけてたんだ。
いま考えれば、あいつも可哀想なやつだよな。産まれたときから、戦闘のために稽古だ。物心ついたときには、相撲じゃ負けなしだったらしい。
その代わり、あいつはアタマが弱い。ろくな教育を、受けてこなかったからな。
だからこそ、おれたちが窃盗してるところを見てないくせに……おれたちを悪だって、決めつけることが出来たんだよ。
全ての元凶は、あいつの育て親だ。あいつを殺戮マシンとして、育てたんだから。
あいつの手下も、相当な馬鹿だぜ?だってさ、団子ひとつで言いなりになるんだからよ……
まあ、あのババアが作った団子だ。何が入ってるかは分からん。
あいつらって誰のこと言ってんのかって?
そうか、まだ名前を言ってなかったよな。聞いて、驚くぜ。今じゃ、有名人さ。
"桃太郎"御一行だよ。
なあ、頼むよ。おまえさんしか、頼るやつがいねぇだよ……
桃太郎とババアだけでいい……!
ジジイは死んでしまったからな。本当は、おれがこの手で殺したかったさ。だけど、ここはプロに任せるよ。確実に、あいつらを葬りたいんだ……
おれたちの財産を奪って、あいつは今じゃ大富豪さ。村の長になってる。だから、ババアは一人暮らしさ。
まずは、ババアを食ってくれ。おまえさん、その経験はあるんだろ?
たまに、あいつはババアのところに帰ってくる。そのときは、ババアになりすませばいいさ。これも、おまえさんはその経験がある。
あとは、油断したあいつも食うだけ。
なあ、頼むよ……
こんな適役、おまえさんしかいないんだよ……
そう、あの子たちを食ったときみたいにやってくれればいいんだ。
赤ずきんのときみたいに…